治療のこと
どんな治療法があるの?
パーキンソン病の治療法には、L-ドパによるドパミン補充療法を中心とした薬物療法、刺激発生装置や持続注入ポンプなどの機器(デバイス)を用いるデバイス補助療法、外科療法などがあります。そして、これらの治療法と同じくらい重要な役割を果たすのが、患者さん自身が楽しみながら継続して行うリハビリテーションです。
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薬物療法
パーキンソン病は、L-ドパとドパミンアゴニストを中心に、複数の薬を組み合わせて治療しますので、それぞれの薬の目的をよく理解してのむことが大切です。薬の形状も飲み薬だけでなく、貼付剤や自己注射剤のような投与方法もあります。また、パーキンソン病の治療薬以外の薬を併用するときには、飲み合わせに注意することも大切です。
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デバイス補助療法 (DAT:Device Aided Therapy)
パーキンソン病の治療を5〜10年続けているうちに、ウェアリングオフやジスキネジアなどの運動合併症が出てくるなど、十分な治療が難しくなることがあります。
従来の薬物療法を行っても十分な効果が得られない場合に検討されるのが、デバイス補助療法(DAT:Device Aided Therapy)です。DATは、全ての患者さんに向いているわけではないので、使用については、そのリスクとベネフィットを十分に検討する必要があります。 -
その他の外科療法
2020年9月からMRガイド下集束超音波療法(MRgFUS)で健康保険が使えるようになりました。適応症は、「薬物療法で十分効果が得られないパーキンソン病のふるえや運動症状の緩和を目的とする治療」です。お薬の効き目が十分でなくなった場合に、主治医とよく相談した上で治療するということになりますが、現在のところ治療ができる施設は限られています。
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リハビリテーション
パーキンソン病は、症状が進むにつれて、体の動きが不自由になってきます。そして、何もせず動かないと、体の機能がますますおとろえていきます。リハビリテーションには、パーキンソン病の悪化を防ぎ、生活の質を保つ効果があります。体の機能を維持し、運動障害を改善するために、リハビリテーションを日課にしましょう。
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これからの治療の可能性
L-ドパを中心とする薬物療法により、パーキンソン病の運動障害に対する治療はめざましく進歩しましたが、L-ドパの長期使用でおこる運動合併症などあらたな問題のため、残念ながらまだ治療のゴールには届いていません。しかし、近年、パーキンソン病の進行そのものを抑制できるような研究の進展が報告されており、遠くない将来に根治的な治療が確立されると期待されています。