公的支援制度

パーキンソン病は、根本的治療法がなくて治療が長期にわたることから、経済的負担や介護負担が本人・家族に重くのしかかることになります。そのため、療養環境改善を目指した様々な公的支援制度が設けられています。パーキンソン病に関連する公的支援制度には、難病の医療費助成制度、介護保険制度、身体障害者福祉法、障害者総合支援法、成年後見制度があります。ただし、これらの支援制度を利用するためには、それぞれの専門窓口に申請する必要があります。


2019年1月現在の制度に基づいて解説しています。各制度は改正されること がありますのでご注意ください。

難病の医療費助成制度

「指定難病」として指定されている病気で、都道府県知事の指定する指定医療機関で受診した場合、健康保険の自己負担割合を3割から2割に引き下げ、かつその一部または全額を公費で負担する制度で、2015年1月1日施行の「難病の患者に対する医療費等に関する法律」により新制度がスタートしました。今までの助成に加えて、ホーン・ヤール重症度分類でU度以下、または生活機能障害度T度以下でも医療費の支払いが一定以上となる場合は、軽症高額該当となり医療費助成の対象となります。制度利用の申請は、住居地の保健所に申請書、診断書などを提出して行います。

介護保険制度

40歳以上の介護保険加入者が、何らかの支援や介護が必要と認定されると、費用の1割負担で介護サービスを受けることができます。本制度は在宅重視であり、自立した日常生活を営むために医療と介護の連携や各種サービス提供が総合的かつ効率的に行われるように配慮すること、と規定されています。

対象者 市区町村の区域内に住所を有する65歳以上の者(第1号被保険者)
市区町村の区域内に住所を有する40歳以上〜65歳未満の医療保険加入者(第2号被保険者)
申請手続き 窓口:各市区町村の介護保険窓口(居宅介護支援事業所での代行申請あり)
必要書類:申請書(主治医の氏名・病院名を記載)
申請後、主治医による意見書作成、認定調査員による身体状況の調査が行われる
支援の内容 訪問介護、訪問看護、訪問入浴、通所介護、通所リハビリ、短期入所、福祉用具貸与、福祉用具購入、住宅改修など
※それぞれ使用料金が設定されている
  • ・要介護度に応じて、介護支援専門員(ケアマネージャー)利用者、
     家族の意向に沿ってサービスを調整

身体障害者福祉法

パーキンソン病の病勢の進行によって身体動作に支障をきたすようになった場合は、身体障害者手帳の交付により、さまざまな支援を受けられるようになります。ただし、障害の判定は原則として障害が固定していることが前提であるため、症状が変動するパーキンソン病では判定が困難な場合もあるといわれています。身体障害者手帳の交付は、身体障害者福祉法指定医の診断を受けて診断書、意見書を発行してもらった後、居住地を所轄する福祉事務所に申請して行います。

対象者 18歳以上で身体障害者福祉法別表に掲げる身体上の障害がある者(パーキンソン病患者さんは「肢体不自由」に該当)
申請手続き 窓口:市区町村の福祉係
必要書類:申請書、診断書、顔写真など
支援の内容
  • ・医療費助成
  • ・経済的支援(特別障害者手当、障害基礎年金)
  • ・税金の減免
  • ・交通機関の割引
  • ・住宅への融資や公共住宅への優先入居
  • ・NHK放送受信料の減免など

※内容は自治体により異なる場合がある

障害者総合支援法

2013年4月1日に「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」になり、障害者の定義に難病等が追加されました。障害者総合支援法とは、障害者や障害児の日常生活や社会生活を総合的に支援するための法律で、症状の変動などにより身体障害者手帳の取得はできないが、一定の障害のある方々も「障害福祉サービス」を受けられるようになっています。ただし、介護保険制度の対象となっている患者さんは、介護保険制度が優先されます。介護給付の申請は、市区町村の担当窓口で行います。

対象者 ・身体障害者手帳を交付された者
・身体障害者手帳の取得はできないが、
 障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者
※介護保険制度の対象者は介護保険の利用が優先される
申請手続き 窓口:市区町村の福祉係
支援の内容 自立支援給付と地域生活支援事業によって構成されています。

・自立支援給付

介護給付、訓練等給付、地域相談支援給付、計画相談支援給付、
自立支援医療、補装具など

・地域生活支援事業

地域住民を対象とした研修・啓発、障害者等による自発的活動に対する支援、相談支援、成年後見制度利用支援、コミュニケーション支援、日常生活用具の給付、移動支援など

成年後見制度

パーキンソン病は進行すると、精神症状や認知機能障害が認められる場合があります。認知機能の低下により、判断能力が不十分となり、不動産や貯金などの財産の管理、高額な商品の購入や介護や施設入所に関する契約の締結、遺産分割の協議等を自力で行うことが難しくなり、また悪徳商法の犠牲となることもあり得ます。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。制度の申し立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、弁護士、司法書士で、窓口は家庭裁判所です。

対象者 認知症により判断能力が欠けている者
判断能力レベルにより「後見」「保佐」「補助」が決定される
申請手続き 申し立てができる人:本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市区町村長など

※身寄りがなく申し立てができない場合は、市町村長に審判の申し立て権が与えられる。

窓口:家庭裁判所
必要書類:戸籍謄本、登記事項証明書、診断書など
内容 患者本人の生活・医療・介護・福祉など、本人の身の回りのことに目を配りながら、本人を保護・支援する
成年後見人等の職務は本人の財産管理や契約などの法律行為であり、食事の世話や実際の介護などは含まれない。