監修のことば

順天堂大学 医学部
脳神経内科 教授

服部 信孝 先生

パーキンソン病は、1000人に1〜1.5人がかかると推定され、アルツハイマー病に次いで2番目に多い神経変性疾患です1)。また、高齢になるほどその割合は高くなり、60歳以上では100人に1人が発症すると言われています。この疾患の治療に関しては、これまでさまざまな治療薬が開発され、数ある神経難病の中では、もっとも「普通の生活に戻ることができる」疾患となりました。しかし、進行性の疾患であるため、治療を進めていく間に薬の種類や服用する回数が増えたり、飲み方をどんなに工夫しても症状を十分にコントロールできなくなる場合があります。
※病気の進行スピードは個人差があります。

パーキンソン病の進行期において特に問題となるウェアリングオフやジスキネジアなどのL-ドパ製剤の長期服用にともなって生じる 運動合併症は、薬が効き目をあらわす血中濃度の幅(有効治療域)が狭くなることが主な原因と考えられています。また、パーキンソン病の患者さんは胃腸の働きが悪くなり、小腸からの飲み薬の吸収が不安定となることで血液中の薬の濃度が不安定になることも原因の一つと考えられています。そのため、これまでの薬の組み合わせや薬を飲むタイミングを工夫しても運動合併症に悩まされるようになったら、次のステップを考える必要があるかもしれません。

このような段階にさしかかった進行期パーキンソン病患者さんに対する 治療法としては、外科手術による深部脳刺激療法(DBS)に加え、2016年9月からはレボドパ・カルビドパ経腸療法(L-ドパをお腹に設置したチューブを通じて、小腸から直接吸収させる治療法)が可能となりました。これらの機器(デバイス)を活用した治療法は、DAT(Device Aided Therapy)と呼ばれています。

パーキンソンスマイルネットは、このようなパーキンソン病の治療や日常生活に役立つ情報をわかりやすくお伝えすることにより、患者さんの「あきらめない治療」を応援することを目的に作成しています。本サイトを通して、ひとりでも多くの皆さんに笑顔を届けることを願っています。

1)葛原茂樹, 日本内科学会雑誌第98巻第9 号, 2009
2017年5月21日 
服部 信孝